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2025.10.17事例

【USEN×NTTデータ】新型POSレジで実現する飲食店のCX変革

キャッシュレス決済をはじめ、飲食業界ではすでにさまざまな店舗DXの波が押し寄せている。デジタルによる省力化・省人化が進む一方で、人にしかできないCX(顧客体験)の重要性が以前にも増して高まっている。

業務効率化と顧客体験の創造、その両方を実現するため、USENとNTTデータが共同で開発したのが飲食店向けの高機能POSレジ「USENレジ」だ。「USENレジ」はどのように飲食業界の課題を解決するのか。USEN&U-NEXT GROUPのUSEN 取締役副社長の塚本健太氏と、NTTデータ 執行役員 インダストリ統括本部長 安地亮一が語った。

目次

“店舗の司令塔”POSレジがCX変革のカギを握る

飲食業界における人材不足は、長期的かつ構造的な課題となっている。少子高齢化による労働人口減少を背景に、シニア世代や外国人を積極的に採用する飲食店も増えているが、依然として根本的な解決には至っていない。さらにインバウンド需要が高まるなか、多言語対応などが追いつかず、機会損失を余儀なくされるケースも目立つ。

こうした現状に対し、USEN&U-NEXT GROUPのUSEN 取締役副社長の塚本健太氏は「店舗DXはもはや必然の流れ」と語る。店舗向け音楽配信、通信、防犯カメラ、デジタルサイネージ、業務用ロボットなどの事業展開で知られる同社は、2015年よりタブレット型POSレジ「USENレジ シリーズ」を展開。飲食店・小売店・理美容店・クリニックといった業種の店舗DXを後押ししてきた。

USEN 取締役副社長 塚本健太氏

「飲食業界にとって、人材不足は避けて通れない課題です。省人化や無人化といった、これまでは人が担っていた業務をデジタルに置き換えていくことは、自然な流れでしょう。それは個人店か大型チェーン店かといった業態に関係なく、どの飲食店にも等しくあてはまる状況です」(塚本氏)

塚本氏は、飲食店におけるPOSレジを“店舗の司令塔”と位置づける。会計や売上を記録するジャーナルデータにとどまらず、受発注データや在庫情報、スタッフの勤怠状況といった店舗運営に関わるあらゆるデータと連携して、一元的に管理できるためだ。

POSレジは店舗DXの中核を担う存在であり、そこで働く従業員と来店客双方にとって心地よいお店を実現することにつながっていく。それは、USENの店舗DXコンセプト「お店に夢中になる時間を、もっと。」にも表れている。

「来店客が飲食店を訪れるのは、そこでしか体感できない細やかな接客や、美味しい料理などの特別な体験を求めているからです。そのような要望に応え続けるためには、定型的な業務はデジタルに置き換え、人にしかできない付加価値の高い仕事に時間と労力を注ぐ必要があります」(塚本氏)

この「人にしかできない仕事」に時間を割ける環境づくりは、NTTデータが掲げるCX(顧客体験)変革の方向性とも重なる。

安地は「私たちが考えるCX変革には大きく2つのポイントがあります」と語る。ひとつは、店舗の販売促進やマーケティング活動をデジタルで効率化し、限られたコストを最大限効果的に活用できるようにすること。もうひとつは、驚きや新しい体験といったプラスアルファの価値を創出することだ。

「CX変革では、省人化や効率化はもちろん、来店客にとっての“非日常”や“特別感”をいかに高められるかが重要です。人にしか生み出せない温かみや心地よさを残しながら、それ以外の部分をデジタルで支えることで、現場はより魅力的な体験を提供できるようになります」(安地)

パートナーシップでともに成長をめざす

2025年3月、USENはNTTデータと共同開発した飲食店向け高機能POS「USENレジ」(以下、新USENレジ)の販売を開始した。従来の「USENレジ シリーズ」はタブレット型POSだが、今回の最新機は端末レベルから独自に設計・開発。専用ハードウェアとソフトウェア一体型で構成される。

「スーパーマーケットやコンビニなどで使われるターミナル型POSは、高い堅牢性が強み。一方、タブレット型POSは直感的な操作性に優れており、それぞれ役割が明確に分かれていました。そこで当社は、ターミナル型POSとタブレット型POSの強みを融合させるかたちで、新しい市場を開拓しようと考えたのです」(塚本氏)

共同開発のパートナーとして重要な役割を担ったのが、NTTデータだ。今回のプロジェクトでは、単なる委託開発の関係ではなく、事業の成長が両社の成長につながるスキームになっている。

「飲食業界はニーズが目まぐるしく変化するため、画一的に製品を開発しただけではすぐに通用しなくなってしまいます。だからこそ、開発を委託するだけでなく、共に考え創り上げていくパートナーシップが不可欠。当社が顧客基盤を生かして市場の声や顧客の課題を提示し、NTTデータ様からは流通・小売分野で培ったPOSの開発、提供実績を生かして実現方法を提示していただく。それぞれの得意領域を組み合わせれば、新たな価値を創出できるのではないか、と考えました」(塚本氏)

今回の共同開発について、NTTデータの安地はこう振り返る。

NTTデータ 執行役員 インダストリ統括本部長 安地亮一

「NTTデータは、流通・小売分野のPOSや店舗DXでは多くの実績がありますが、飲食業界でのノウハウや実績は十分とは言えません。POSは店舗運営を支える重要な仕組みであり、ソフトウェアだけで完結するものではありません。

その点、USEN様は音楽配信事業をはじめ、全国に広がる経験豊富なサポートネットワークを長年培われており、それが大きな強みだと感じました。

これらのこともあり、USEN様とのパートナーシップは、新たな顧客体験を創出する絶好の機会だと感じました。加えて、変革パートナーとして取り組ませていただき、一緒に事業を成長させていくことにコミットさせていただいたことは、新しい刺激を社内にもたらしてくれたように感じます」(安地)

安地が「連日、膝を突き合わせた」と語るように、開発期間中は両社の間で密なコミュニケーションが交わされた。

「USEN様のご要望に対し、当社からも提言をさせていただき、双方で磨き上げていく場面が多々ありました。例えば、小売店では料金計算時にネットワーク接続が前提となる場合が多いのですが、街のレストランでは通信環境が不安定なこともあります。とはいえ、お会計ができなくなる事態は避けなくてはなりません。そこで、サーバー依存ではなくローカル処理で対応できるよう、既存アーキテクチャを飲食店向けに調整したりしました。お互いの意見を交わし、柔軟に対応できたのは共同開発ならではだと思います」(安地)

ターミナル型・タブレット型POSの長所を兼ね備えた、新USENレジ

新USENレジ

ターミナル型POSとタブレット型POSの長所を併せ持つ新USENレジ。その優位性について、塚本氏は次のように話す。

「新USENレジは、ターミナル型POSに引けをとらない堅牢性を備えています。堅牢性が求められる金融業界のシステムを長年担っているNTTデータ様の強みを発揮いただきました」(塚本氏)

一方、UIデザインはターミナル型POSとは異なる設計で、タッチパネルで操作する。このスマートフォンのような操作性も塚本氏がゆずれないポイントだった。

「タブレット型POSに代表されるように、最近はBtoC向けサービスとBtoB向けサービスのプラットフォームの境界がなくなりつつあります。デジタルネイティブな世代はターミナル型よりもタブレット型の方に親しみを覚えるかもしれません。また、スマホのようにアプリの拡張性が高ければ、機能もスピーディーに追加でき、店舗ニーズへの柔軟な対応が可能です」(塚本氏)

飲食店におけるPOSレジは、注文から会計までの一連の業務に対応する必要があるため、操作は多岐にわたり、加えて個店ごとに多様な要望が存在する。
店舗ごとの要望に合わせて個別にシステムを開発すると、品質の維持・メンテナンスの負担が大きくなるため、可能な限り共通化できる仕組みを設計・実装することで、品質とメンテナンス性の両立に取り組んだ。

「USEN様はサービスリリースまでのスピード感も重要視されているなか、品質・メンテナンス性担保のための設計、実装には苦労しました。当社が持つPOSアセットや、培ってきた“実装力”を生かしながら、USEN様には迅速に意思決定していただき、タイトなスケジュールを無事に乗り越えることができました」(安地)

そのほか、新USENレジはインバウンド需要を見据え、多言語対応のモバイルオーダーやタブレットオーダーも用意。また、外国人従業員が働きやすい環境にも配慮し、ハンディ端末やPOSレジの操作画面も多言語化している。

「多言語対応がインバウンド対策として重視されている一方で、外国人従業員のサポートは後回しにされがちです。実際のところ、外国人従業員向けの機能を備えたPOSレジはまだそれほど多くありません。そのため、操作の習得に時間を要したり、業務ミスが発生したりするケースが日常的に起こっています。そこで今回は、外国人従業員向けの言語切り替え機能やトレーニングモードなどを搭載し、業務と学習の両面でサポートできるようにしました」(塚本氏)

新USENレジは、規模の大小を問わず、さまざまな飲食店で導入が進んでいる。塚本氏によると、今回のリリースを待ち望んでいたユーザーも多く、確かな手ごたえを感じているという。

パートナーシップを強化し、未知の領域を目指す

パートナーシップでともに成長をめざす新USENレジプロジェクトを、安地は以下のように振り返る。

「プロジェクトを通じて、USEN様が店舗DXやCX変革に注ぐ熱意を強く感じています。そのような重要な経営課題に、変革パートナーとしてともに取り組むことができ、大変うれしく思います」(安地)

塚本氏も「今後は、パートナーシップをよりスケールアップしていく」と意気込みを見せる。

「新USENレジは当社にとって象徴的な製品であり、より多くの店舗で導入されることを願っています。また、今回のPOSレジに限らず既存サービスの守備範囲もどんどん広げていく考えです。NTTデータ様のR&D(研究開発力)と当社のラストワンマイル力(営業サポート力)は非常に相性が良い。今後も分野を問わず、パートナーとしてともに模索していきたいです」(塚本氏)

これに対して、安地も「新境地を切り拓いていきたい」と、賛同を示す。

「飲食業界に深い知見を持つUSEN様と連携し、現場起点のリアルな課題に寄り添いながら、弊社からもUSEN様、飲食業界様への提言を積極的にし、ともに成長をめざしていく考えです。また、NTTデータとしては、今回新たに飲食業界での実績を積めたことが成果の一つです。同様に、多様な業界が抱える経営課題に対して変革パートナーとして伴走し、事業成長に寄与していきたいです」(安地)

NTTデータのPOSレジソリューションについてはこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/tabletpos/

NTTデータの顧客接点・決済領域サービスについてはこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/payment/

NTTデータの流通・小売業界向けサービスについてはこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/industries/retail-distribution/

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