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引越し手続きに潜む、現場と市民の負担とは
──札幌市水道局への引越申請は電話受付が年間約16万件と、特に繁忙期は業務負担が大きいですよね。
引越申請処理はどのような流れで対応されていましたか?
札幌市水道局総務部営業課
営業係長
山﨑 直行 氏
札幌市水道局 山崎営業係長(以下、山崎氏)
当局では電話による届出が依然として多く、業務負担の大きい状況が続いていました。
電話受付は、委託先のコールセンターが担っていますが、オペレーターが聞き取った内容をシステムへ手入力しており、電話での申請件数が増加すると、コールセンター職員の業務時間が増大するため大きな課題となっていました。
また、市民の皆さまにとっても、電話での申請は、混み合う時期や時間帯があることや、オペレーターに口頭で伝える手間、申請内容をその場で正確に伝える難しさなどの負担があったのではないかと思います。
その点、WEB申請であれば市民の皆さまが都合のよい時間に手続きでき、聞き取りミスや再確認の手間も減らすことができます。
だからこそ、より多くの方にWEB申請を使ってもらえるよう、間口を広げることが重要だと考えました。
こうした課題を受けて、「BizMINT® 引越」の導入を検討。
検討の初期から、北海道地域で「BizMINT®引越」の展開を担うNTTデータ北海道が、お客様窓口として緊密なコミュニケーションを図り、当社ソリューション担当と連携しながら、現場の運用を変えずに導入できる方法を共に検討しました。
WEB申請はすでにある─狙いは「間口を拡げること」
──札幌市水道局の公式サイトにはWEB申請フォームはすでにありましたよね。
山崎氏
はい、仕組み自体はありましたが、まだまだ電話での申請が多くありました。
ちょうどコールセンターの委託契約更新時期とも重なったため、コスト削減とWEBチャネル拡大の両面から、より多くのお客さまにWEB申請いただくための施策として、「BizMINT® 引越」の利用を検討することになりました。
──「BizMINT® 引越」は、水道の申請だけでなく、電気・ガス、さらに自治体の転入・転出手続きまで、生活インフラに関わる各種手続きをWEB上でまとめて申請できるワンストップサービスですよね。
山崎氏
そうですね。行政と民間の手続きがワンストップでできるので、市民目線で見ても利便性は大きく向上していると感じています。
従来は、自治体で転入・転出手続きを行い、水道局に申請し、さらに電気・ガス会社にもそれぞれ連絡が必要でした。「BizMINT®引越」を導入したことで、1つの入口から複数のインフラ事業者と自治体への申請を一括で行えるようになり、手続きが非常にスムーズになっています。

図:「BizMINT® 引越」のしくみ
札幌市のマイナンバーカード活用ユースケース拡大への貢献
──「BizMINT®引越」導入の決め手は何でしたか?
山崎氏
「BizMINT®引越」の導入の決め手は、札幌市のデジタル企画課が主導で進める「マイナンバーカード活用のユースケース拡大」に沿ったものであったことが大きかったです。
マイナンバーカード利活用・市民サービス向上の方針に沿って推進するDX施策として、当局としてもこの方向性に賛同し、現場で協力する形で導入が進みました。
まさに市民に寄り添うDXとして、“市民の暮らしの利便性を高めながら、自治体としてのDX推進の責任も果たす”取り組みだったと考えています。
現場としても単なる業務効率化ではなく、市民の体験価値向上につながるDXに携われたことに、大きな意義を感じています。
業務フローを変えずに導入・定着し、処理時間短縮
──「BizMINT® 引越」導入前後でどのように業務フローが改善されましたか?
山崎氏
いえ、実は既存の業務の流れを大きく変更することなく、日々の運用にスムーズに取り入れることができており、ここが導入成功の大きなポイントであったと感じています。
実装のフェーズでは、引越申請ポータルサイトから連携されるデータの仕様をNTTデータ担当者と密に協議し、調整しました。
その結果、札幌市水道局の公式サイトと同じ項目を取得し、同じレイアウトで申請データを出力する仕様を実現することができたため、連携された申請データの取り込みから既存の業務の流れに乗せることができています。WEB申請チャネルの拡大と業務フロー改善を両立させようとすると、格段に導入のハードルが高くなってしまうように感じます。
──この仕様調整や現場との連携は、当社のソリューション担当と、NTTデータ北海道担当者によるサポートも大きかったと聞いています。
山崎氏
はい、顧客管理システムへ取り込めるデータ形式が限定されていたため、現行業務フローに載せる形でのフォーム設計が可能かどうか、また顧客管理システムへのスムーズな連携ができるかが懸念点でした。
その点は「BizMINT® 引越」側のサポート体制が整っており、スムーズに進めることができました。
社会基盤ソリューション事業本部 社会DX&コンサルティング事業部
神農 明里
NTTデータ:神農
現場の業務を変えずに導入支援することを重視し、ヒアリング段階から水道局様の業務フローを丁寧に確認しました。特にデータ形式や運用上の懸念点は、NTTデータ北海道の技術担当とも連携しながら、実装まで伴走させていただきました。
NTTデータ北海道 公共ビジネス事業部 公共営業部
水沼 康介
NTTデータ北海道:水沼
導入にあたっては、業務の流れにスムーズに乗ることを第一に、フォーム項目や出力仕様を細かくすり合わせました。水道局様との距離が近い分、調整もスピーディに進められたと思います。
──導入後の効果はいかがでしたか。
山崎氏
「BizMINT® 引越」の申請フォームは前述の通り、項目設計がしっかりしており、既存のWEB申請フォームよりも入力ミスや表記ゆれが格段に少なく、受け取るデータの正確性が向上しました。
1件あたりの処理時間も従来の電話受付(6分)に比べて、WEB申請では約3.5分まで短縮されており、間口が広がり申請件数が増えるほど効率化の効果が出てきています。
“使いやすい”の声が、市民と現場をつなぐー今後の展望
──市民の皆様の反応はいかがでしょうか。
山崎氏
札幌市水道局のWEB申請については、市民の皆さまからは高く評価いただいています。
市民の皆様の「使いやすい・便利」という声が届いていて、担当者としても効果を実感しています。
今後は引越申請に限らず、他業務にもWEB化を拡大し、支払い手段の多様化やさらなるDX推進につなげていきたいと考えています。
──これからDX推進をする事業者や自治体の皆様へメッセージがありましたらお願いします。
山崎氏
WEB化やDXというと、業務改善や効率化が目的になりがちですが、今回の取り組みであらためて感じたのは、“市民の生活をどう便利にできるか”を起点に考えることが一番大切だということです。
市民の利便性を高めるための仕組みを整えた結果として、私たち職員の業務量増加の抑制にもつながりました。
まずは「市民の生活体験をより良くする」という視点から、ぜひDXに取り組んでみていただければと思います。

BizMINT®引越 公式サイトについてはこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/bizpico-mint/
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