はじめに
みなさま、はじめまして。 NTTデータの新規事業開発伴走支援チーム「IDA(Innovation Design & Acceleration)」の王 俊傑(おう しゅんけつ)と申します。少々仰々しい名前ではありますが、気軽に「しゅんけつさん」と呼んでいただければ嬉しいです。
今回が初めてのメルマガ投稿となりますので、冒頭で簡単に自己紹介させてください。
私は入社以来、法人のお客様を中心に、上流から下流まで一貫したシステム開発プロジェクトに従事してきました。特に、インフラアーキテクチャ、データエンジニアリング、AI(ML/DL)領域を得意としており、最近では大手物流企業様や飲料メーカー様の新規事業開発において、アジャイル開発を支援しています。現在はIDAにて、事業アイデアの仮説検証や、それに伴うオファリング開発を主に担当しています。
今回は、新規事業の成否を左右する「事業アイデアの仮説検証」にフォーカスし、特に“ユーザーの受容性”を見極める手法として、ランディングページ(LP)とWEB広告を活用した実践的な検証方法をご紹介します。
なぜ今、「受容性検証」が重要なのか
みなさまの会社では、新規事業開発をどのようなプロセスで進めているでしょうか? 多くの場合、「機会領域の定義→アイデア創出(アイディエーション)→アイデア仮説の構築→仮説検証」という流れで進行することが多いかと思います。
新規事業開発は、まさに“仮説と検証の繰り返し”。中でも、アイデアが本当にユーザーに受け入れられるかどうかを見極める「受容性の検証」は、初期段階で最も注力すべき重要なステップです。
しかし、従来のインタビューやアンケートでは、「相手に良く思われたい」「役に立ちたい」といった心理や、質問設計によるバイアスが入りやすく、ユーザーの“本音”を引き出すことが難しいという課題があります。
そこで有効なのが、ユーザーの実際の行動データに基づく受容性検証です。特にLPとWEB広告を活用することで、ユーザーの無意識な反応を可視化し、より客観的な意思決定が可能になります。
LP×WEB広告による受容性検証の仕組み
ユーザーの興味関心や行動傾向を定量的に捉えるために、LPとWEB広告を組み合わせた検証アプローチをご紹介します。
ランディングページ(LP)の役割
LPは、特定のアイデアやコンセプトを1ページで訴求する構成です。以下の要素を盛り込むことで、ユーザーの反応を把握しやすくなります。
- キービジュアル:サービスやプロダクトの魅力を視覚的に訴求
- ニーズ訴求:ユーザーの課題や関心に寄り添うメッセージ
- 機能・サービス紹介:提供価値やユースケースを明快に提示
- アンケートやCTA:登録・回答を促す仕掛け
クリック数、滞在時間、スクロール率、アンケート回答などの行動ログを通じて、ユーザーの関心度や反応の強さを把握することが可能です。
WEB広告バナーの活用
WEB広告は、異なる仮説を検証するための“入り口”として機能します。
- A/Bテスト:ニーズ訴求型・機能訴求型など、切り口を変えたバナーで比較検証
- 数値指標での評価:インプレッション、CTR(クリック率)、CVR(コンバージョン率)を定量的に分析
- ターゲティングの工夫:年齢・業種・関心ごとにセグメントを分けて反応を比較
InstagramなどのSNS広告を活用すれば、さらに深いセグメント単位での分析も可能です。
実践ステップ:ユーザーの“本音”を引き出す3ステップ
- 1.広告配信→LP誘導
設定した仮説に基づいた広告で関心を惹き、LPへと誘導します。 - 2.ユーザー行動の可視化と分析
Google Analytics(GA4)などを活用し、クリック・離脱・滞在時間といった行動を定量的に確認します。 - 3.改善と繰り返しによる精度向上
反応の良かった要素を基にLPや広告を改善し、検証精度を高めていきます。
メリットと注意点
上記のようなステップを踏むことで、以下のようなメリットが得られます。
主なメリット
- バイアスの少ないリアルなデータが得られる
- ユーザーの“本音”を行動から読み解ける
- 今後のプロダクト開発やマーケティング戦略に直結するインサイトが得られる
注意点・課題
ただし、本手法にはいくつかの注意点もあります。以下のような点に注意しながら、採用可否を見極めることが重要です。
- WEB広告でターゲットに適切にアプローチできるかの見極めが必要
- 広告配信に関するアカウント準備、設計、運用、分析などのマーケティングスキルが必要
- LPやバナー画像など、クリエイティブ制作に関わるデザインスキルが必要
- 大企業での導入にあたっては、関係部署との調整やレピュテーションリスクへの配慮も求められる
おわりに
LPとWEB広告を活用した受容性検証は、ユーザーの“無意識の反応”を定量的に捉える強力な手法です。新規事業の成功確度を高めるためにも、勘や思い込みではなく、客観的な判断軸を持つことの重要性は今後ますます高まると感じています。
前述したように、手法の活用には一定の知識・スキルや準備が必要です。
私たちNTTデータの新規事業開発伴走支援チーム「IDA」では、そうした課題を解決するためのオファリングも開発・提供しています。
「従来の検証手法ではうまくいかなかった」
「この手法について詳しく知りたい」
そんな方は、ぜひお気軽にご相談ください!


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