兵庫県洲本市における観光客向け夜間移動サービスの実証開始

~夜間シャトルバス・タクシーと予約・配車アプリで観光利便性向上と2次交通不足解決を支援~

トピックス

2025年10月2日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、2025年10月3日より兵庫県洲本市で開始される夜間シャトルバス・タクシーおよび予約・配車アプリを活用した実証実験に参画します。本実証は、洲本市が国土交通省の「共創モデル実証運行事業」に採択されて実施するもので、マイカーを持たない首都圏や国外からの観光客の増大を見据え、地域を周遊するための2次交通の充実に向けた受入環境の整備を進めます。
NTTデータは、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム注1(SIP)第3期/スマートモビリティプラットフォームの構築」の取り組みにおいて、株式会社MaaS Tech Japan(以下、MaaS Tech Japan)が開発を進めるShared Service for Mobility(以下、SSM)注2の成果を活用し、モビリティサービスの提供に際して必要となる共通的な機能である予約・配車機能や乗降場策定支援機能を提供します。これにより、観光客の利便性向上と交通事業者の業務効率化を同時に実現し、持続可能な地域交通モデルの構築に貢献します。

背景

洲本市では観光需要の増加が見込まれる一方で、温泉街と繁華街を結ぶ夜間の移動手段が不足しています。既存の路線バスや宿泊施設の送迎バスは運行時間に制約があり、タクシーについては、運転手不足によって台数の確保が困難な状況が続いています。こうした課題を受け、洲本市は2025年に国土交通省の「共創モデル実証運行事業」に採択され、夜間シャトルバスの導入に取り組んでいます。
一方、NTTデータは内閣府総合科学技術・イノベーション会議の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期/スマートモビリティプラットフォームの構築」(研究推進法人:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO))において、モビリティサービスの立ち上げ・運営する際に必要となる共通的な機能を備えた基盤SSMの研究開発をMaaS Tech Japanとともに進めており、今回洲本市が実施するシャトルバス運行実証にSIP事業の成果を提供します。

図:洲本市「すもとシャトル」実証運行チラシ

概要

NTTデータは、MaaS Tech Japanが開発・提供するSSMを活用して2025年10月3日より、洲本市が実施する夜間シャトルバス運行の実証を支援します。観光客の利便性と交通事業者の効率化を目指し、以下の取り組みを検証します。

夜間シャトルバス運行システムの技術検証

  • 宿泊施設がある温泉街と繁華街を結ぶルートにおいて乗降場を設定し、夜間シャトルバスを運行
  • 自治体や道路管理者、警察など多岐にわたる関係機関との調整先が多く、手続きも複雑な乗降場の設置に関して、乗降場策定をシステム上で効率化する仕組みを提供
  • 予約アプリを通じて利用者が簡単に座席を確保でき、観光客の市内周遊を促進に寄与

タクシー配車依頼のデジタル化

  • アプリを通じ、複数のタクシー事業者への配車依頼をデジタル化し、一元的に管理
  • 需要を可視化することで、従来はタクシーをつかまえにくかった来訪者でも、スムーズに利用できる環境を整備

SSMによる基盤提供で運行実績を収集しデータ活用

  • 運行管理、予約、案内、データ収集などモビリティサービスに共通して必要となる機能をワンパッケージとしたSSMを共通基盤として提供
  • 関係者調整やサービス導入を効率化し、交通事業者はゼロから独自開発する必要がなく、開発コストやサービス立ち上げにかかる時間を大幅に削減可能

今後について

本実証で得られたデータや知見は、NTTデータがSIP第3期スマートモビリティプラットフォームの構築を通じて研究開発を進めているJapan Mobility Data Space注3に蓄積し、次の地域交通の改善や新たなサービス創出に向けて活用していきます。NTTデータはMaaS Tech Japanとともに、今後もSSMの機能を強化し、国内で交通課題を抱える他地域や交通サービスの提供を検討する事業者に広く展開することで、持続可能で利便性の高い地域交通サービスの実現に貢献します。

注釈

  • 注1 内閣府『戦略的イノベーション創造プログラム』とは、総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより、科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクトです。
    https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/
  • 注2 Shared Service for Mobilityとは、モビリティサービス事業者が共通で利用できる機能群・基盤サービスを指し、モビリティ分野における新規事業参入やサービス開発のハードルを下げるために整備される「共通サービス基盤」です。
  • 注3 Japan Mobility Data Spaceとは、産官学のさまざまな組織間の移動・交通に関するデータの連携基盤です。
    https://mobility-data-space.jp/
  • 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
  • 本成果には、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の下で推進する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期/スマートモビリティプラットフォームの構築」(研究推進法人:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)(NEDO管理番号:JPNP23023)の成果が含まれています。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
社会基盤ソリューション事業本部
社会DX&コンサルティング事業部
ビジネス企画統括部
営業企画担当
中島、大津、近藤
E-mail:japanmobilitydataspace@am.nttdata.co.jp