農地×データで地域農業を再設計、長野市と実証を開始
~農業情報を連携・利活用し地方創生を後押しする社会課題解決に向けた取り組みへ~
トピックス
2025年9月29日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、2025年9月より、長野市(市長:荻原健司)と連携し、農地台帳やGIS等の既存データを活用した農業情報連携・利活用の先行実証を開始しました。本実証では、農地ごとの所有情報や作付け状況、遊休農地などを地図上に連携・可視化し提供することで、農地集積の検討や業務効率化、地域農業の持続可能な運営に寄与します。NTTデータが取り組む食農分野の社会課題解決に向けた実証案件であり、今後は衛星画像や生成AI等の技術も活用し、さらなるサービスの高度化を目指します。
背景
日本の農業は担い手の高齢化や耕作放棄地の増加に直面しており、農地の有効活用や効率的な運営が大きな課題となっています。特に長野市では、中山間地域の地形的制約が多く、従来の個別農家による農地活用には限界がある中、農地の集積や効率化、官民連携による農業支援の必要性が高まっています。
加えて、自治体では、農地に関する情報が各部署や関係機関で個別に保有され、統合的な活用が難しいという課題があります。農地台帳やGIS等の既存データの連携・可視化が進めば、農業政策の高度化と現場業務の効率化に大きく寄与することが期待されています。
NTTデータでは、農業・食料供給分野の社会課題解決に取り組んでおり、本実証は農地情報を活用した新たなビジネスモデルの構築に向けた第一歩と位置づけています。
実証概要
NTTデータは2025年9月より長野市と連携し、市内複数地域を対象に農地関連データの可視化・連携に向けた先行実証を開始しました。
主な取り組みは、以下の通りです。
1.農地情報の一元的な可視化
自治体が保有するGIS、農地台帳、作付け情報、地権者、耕作者情報、遊休地状況などを地図上に統合表示します。農地の現況が一目で把握でき、地域計画の高度化、農地集積施策の立案検討がスムーズになります。
2.自治体業務の効率化・属人化の解消
従来、部署ごとに分散していた農業関連情報を集約し、BIツールを活用して操作性の高い環境を構築します。職員が自ら更新・管理できる自走型モデルを目指します。
3.政策活用と地域農業の持続性支援
集約された情報をもとに、地域の農業政策の立案精度の向上に寄与します。また、現在自治体が保有している農地および生産者の最新データをベースとして、地域内の農地貸出意向情報や営農関連情報(栽培、土壌、環境等)も連携することで生産者の農地拡大検討や、企業・団体による農業参入の意思決定を後押しします。
さらに、今後の実装に向けて、衛星画像による耕作状況の把握や、生成AIを活用した情報処理の高度化も検討しています。これにより、遊休農地発生確認・防止のための農地パトロールや補助金対象作物の現地確認業務の際の遠隔監視による効率化、農地転用の業務効率化などに寄与するものと考えています。

図1:農地関連データの可視化・連携に向けた先行実証の全体像

図2:データ連携ダッシュボードのイメージ
今後について
NTTデータは、本年度の実証結果をもとに、農地情報の利活用における課題や効果を整理し、長野市での取り組みをモデルケースとしてさらなるサービスの高度化を検討することで、地域農業の持続可能性の向上、食料安全保障、地方創生といった広範な社会課題の解決に貢献していきます。
注釈
- 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
社会基盤ソリューション事業本部
社会DX&コンサルティング事業部
ソーシャルビジネス推進室
コンサルティング担当
井上、渡辺、高橋、吉村
E-mail:sdc_food-agri@hml.nttdata.co.jp