米国Lazarus AI社との販売代理店契約により閉域環境で高精度な生成AIサービスを提供開始
トピックス
2025年7月24日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、閉域環境で利用可能なマルチモーダルLLM製品注1を提供する米国Lazarus Enterprise, Inc.(本社:マサチューセッツ州、CEO:Ariel Elizarov、以下Lazarus AI社)と販売代理店契約を締結し、「Lazarus AI(ラザルス エーアイ)」の提供および構築・導入支援を日本市場向けに2025年8月より開始します。昨今、生成AIの活用には、機密性の高い情報の利用や監査・内部統制といったセキュリティ・ガバナンスへの対応が必要となっており、閉域環境で安全かつ高精度な生成AI活用を支援します。
NTTデータが有するGPU基盤と組合せて「Lazarus AI」を提供することで、お客さまはインターネットに接続せずに生成AIで重要情報を扱うことが可能となります。さらに、当社保有の国内のデータセンターとも連携し、お客さまの生成AI活用のあらゆるニーズに対応します。
NTTデータは、インフラからアプリケーション、コンサルティング、BPOまでフルスタックで提供することで、お客さまの生成AI導入に関する課題解決を支援し、事業変革・業務効率化に貢献していきます。
背景
企業の生成AI導入は、業務効率化や生産性向上が実現できます。文書作成や要約、顧客対応などの自動化によりコスト削減が可能となり、AIを活用した高度な分析や提案で競争力強化も図ることができるようになります。これに対して、機密性の高い情報の処理や監査対応・内部統制といったセキュリティ・ガバナンスへの対応が重要となり、オンプレミス、プライベートクラウドといった閉域環境での生成AI環境の構築が求められています。
NTTデータでは、生成AIを活用したSmart AI Agent™注2構想を軸に、業務プロセス全体の高度な自動化を推進しています。オフィスワーカー向けには、営業・マーケティングなど専門領域に特化したAIエージェントを提供し、自律的なタスク処理環境を整備することで、労働力人口不足といった社会課題解決に取り組んでいます。また、自社の専用環境で生成AI利用されたい顧客向けに、最新鋭のGPUを活用した生成AI向け基盤提供を開始しており、インフラからアプリケーションまでフルスタックでお客さまの支援を進めてきました。
概要
NTTデータは、閉域環境で利用可能なマルチモーダルLLM製品を提供するLazarus AI社と販売代理店契約を締結し、生成AIサービスの提供および導入・構築支援を日本市場向けに2025年8月より開始します。本契約により、閉域環境での生成AI利用のお客さまに、米国の国防総省や生命保険業界、損害保険業界で実績のあるLLM製品「Lazarus AI」を提供します。
NTTデータの生成AI向け基盤と組み合わせて「Lazarus AI」を提供することで、お客さまはインターネットに接続せずに生成AIで企業の重要情報を扱うことが可能となります。NTTデータは国内に多くのデータセンターを有しており、お客さまの生成AI活用の用途・規模に応じて大小あらゆるニーズに対応することができます。
Lazarus AIの特長
1.閉域環境での提供
生成AI環境をオンプレミス、プライベートクラウドなどインターネット接続されない閉域環境上に構築することが可能です。このため、機密性の高い情報を外部に送信せず、信頼性高く堅固なシステムで安全に生成AIを活用できます。そのため、企業の機密性の高い重要情報も取り扱うことができ、より生成AIのユースケースを拡大することができます。
2.マルチモーダルLLMをチューニングレスで利用
事前に学習データを追加してのチューニングや利用後のファインチューニングを実施せずに、業務利用で高い精度での出力を得ることが可能です。これはLazarus AI社のマルチモーダルLLMが、非常にクリーンで大量のデータを用いて学習されているためです。これにより、導入や運用にかかる手間やコストを最小限に抑えることができ、すぐに業務活用ができます。
3.独自の仕組みによるハルシネーションの低減
独自のエンジンとドキュメント管理を組み合わせたアーキテクチャーを採用することで、信頼性のある情報源のみを生成AIに参照させて回答を生成します。これにより、誤情報の出力リスクを低減し、より精度の高い回答結果を得ることが可能です。
本提携により、NTTデータが提供可能な製品は以下の通りです。
製品名 | 概要 |
---|---|
RikAI | 文書処理(テキスト・表形式データの解析を含む)およびマルチモーダル推論に特化して開発されたLLMです。特に、生成AIにおいて問題となる“ハルシネーション(根拠のない情報の生成)”を抑制する高度な制御機構を備えており、正確性と信頼性の高い情報抽出を可能とします。 |
VKG | 企業独自の知識財産や組織内の重要情報を安全かつAIシステムへ統合するためのデータストラクチャーで、ベクトル空間でデータを保持します。VKGは、RikAIやATLSと連携することで、追加学習は不要でRAG(拡張検索技術:Retrieval-Augmented Generation)と同等の機能を提供し、企業独自のデータから生成AIを通じて有益な洞察を得ることができます。 |
ATLS | RikAIやVKG、他のAIモデルを含むさまざまなツールを統合的に管理するエージェント型モデルです。(提供は2025年度中を予定) |
想定ユースケース
- 金融業界における決算資料等の内部文書を活用したコンプライアンスチェックやリスク評価業務
- 製造業界における技術情報・特許情報・実験データ等を活用した研究開発の促進や技術継承
- エネルギー業界における規制資料・入札書等を活用した規制レポート生成、入札書比較/評価
- 通信業界における利用統計・仕様文書・試験記録等を活用した新規サービスの開発支援や技術文書整備
- 安全保障分野における作戦記録等を活用した戦略立案やリスク対応計画の高度化
今後について
本提携を通じて、NTTデータは、LLM製品のラインアップを強化しビジネス拡大を図ります。インフラからアプリケーション、コンサルティング、BPOまでフルスタックで提供することで、お客さまの生成AI導入に関する課題解決を支援し、事業変革・業務効率化に貢献していきます。
エンドースメント
Lazarus Enterprise, Inc. Co-founder & CEO Ariel Elizarov
このたび、NTTデータ様と戦略的パートナーシップを締結できたことを、非常に誇りに思うとともに大変嬉しく感じています。豊かな歴史、広範な市場基盤、そして革新への継続的な取り組みを通じて、NTTデータ様はお客様のデジタル変革を力強く推進する確かな土台を築かれてきました。特に、先進的なAI戦略や、最先端のソリューションを企業のお客様に届ける卓越した実行力には、深く感銘を受けています。本パートナーシップを通じて、日本国内のお客様に対して、有意義で測定可能な成果をもたらすものと確信しています。
注釈
- 注1 画像や音声など複数の情報を同時に理解できる大規模言語モデル
- 注2 これまで「SmartAgent™」と表記していた生成AI活用のコンセプト名称は、2025年6月26日以降グローバルで「Smart AI Agent™」に名称を統一しました。
- Smart AI Agentは、株式会社NTTデータグループの米国、欧州連合、英国、および日本国内における商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
ソリューション事業本部
デジタルサクセスソリューション事業部
宇都宮、野村、吉村
E-mail:nttdata-lazarusai-inquiry@hml.nttdata.co.jp