ウラノス・エコシステムに資するデータスペース基盤の構築・実証を開始
~NEDO「ウラノス・エコシステムの実現のためのデータ連携システム構築・実証事業」に採択~
トピックス
2025年7月14日
株式会社NTTデータグループ
株式会社NTTデータグループ(以下、NTTデータグループ)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「ウラノス・エコシステム注1の実現のためのデータ連携システム構築・実証事業/ウラノス・エコシステムに資するデータスペース基盤整備・普及促進事業/データスペース基盤の開発・実証・普及促進事業」注2の公募に採択されました。
本事業は、企業や業界、国境を越えたデータ連携を実現するデータスペースの普及に向けて、基盤となる相互接続機能や認証認可機能などの技術開発を行います。また、産業界の実ニーズに即したデータスペース基盤の開発・実証を進め、データスペース構築者、利用者に向けたガイドラインを作成し、データスペースの拡大のための普及促進活動を実施します。
日本国内では、企業や業界間で相互にデータやシステムを連携するためのルールや標準が整備途上にあり、業界横断で連携可能なデジタルインフラの社会実装が喫緊の課題となっています。本事業を通じ、独立行政法人情報処理推進機構デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(以下、DADC)のアーキテクチャに関する助言のもと、ウラノス・エコシステムの推進に向けたプロトコル設計やシステム構築・実証等を進めることで、企業や業種をまたいだセキュアなデータ連携基盤の構築を実現し、社会全体のデータ活用の高度化・最適化を図り、イノベーションの創出に寄与します。
NTTデータグループは、多数のステークホルダー間で円滑・安全にデータを流通できるデジタルインフラのさらなる整備を通じて、社会課題解決と新たな価値創造を実現します。
背景
資源循環型社会の実現や経済安全保障等の課題の解決には企業や業界、国境を越えた横断的なデータ共有やシステム連携の仕組みの構築によるイノベーションや付加価値創造が不可欠です。NTTデータグループでは、自動車業界や化学業界等において、グローバルに整備が進むデータスペースとの相互運用性に優れ、企業や業界の垣根を超えた円滑・安全なデータ流通を可能にするデータ連携基盤の構築注3に取り組んできました。
海外では、ビジネス環境の急速なデジタル化の進展に伴い、デジタル基盤やデータ流通基盤の構築が進み、データの囲い込みの動きが加速しており、特に欧州においては化学物質管理や資源循環分野での新たな環境データの管理強化等への対応が喫緊の課題となっています。日本においても、バッテリートレーサビリティをはじめ、地理空間情報やドローン航路等の分野で産業データ連携の取り組みが進むほか、経済産業省およびDADCよりデータスペース実装の参照アーキテクチャである「ウラノス・エコシステム・データスペーシズ・リファレンスアーキテクチャモデル(ODS-RAM)」注4が公開されるなど、産業・技術的な進展が見られます。
このような背景を受け、NTTデータグループは、多様なステークホルダー間のデータ連携を実現する「ウラノス・エコシステム」の実現を目指し、データ保護対策や信頼性の高いシステムの技術開発と検証を目的としたデータスペース基盤整備を行うNEDO公募事業「ウラノス・エコシステムの実現のためのデータ連携システム構築・実証事業」へ応募し、事業者として採択されました。本公募事業は、一般社団法人自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター注5と共同で提案応募したもので、両社はデータスペース基盤の構築を通じた業界横断エコシステムの実現を目指し共同で取り組みます。
取り組み内容
NTTデータグループは、さまざまな企業や団体が連携し、相互にデータを利活用できるデータスペース基盤の実現を目指しており、その実現のためには、汎用(はんよう)的なインターフェース仕様の採用、柔軟なアーキテクチャの採用、多様なステークホルダーによるエコシステム形成と新たなビジネス市場の創出が重要であると考えています。
このような観点を踏まえ、本公募事業において、NTTデータグループはDADCのアーキテクチャに関する助言のもと、データスペース基盤のプロトコル設計や構成要素となるソフトウエア技術の開発・実証を行います。
実証では、欧州における環境規制への対応に向け喫緊の課題を抱える自動車業界や化学業界、経済産業省を中心に進められている「デジタルライフライン全国総合整備計画」注6におけるアーリーハーベストプロジェクト(ドローン航路、インフラ管理DX、自動運転サービス支援道等)等の他ユースケースへの適用を予定しています。
多様なユースケースで活用できる拡張性の高い共通基盤の構築
企業・業界の垣根を超えた円滑・安全なデータ流通を実現するためのデータスペース基盤の構築に向け、さまざまな産業分野がそれぞれのシステムを構築・拡張できるように、構築・拡張・運用が容易な共通的な仕組みを設計・開発します。実証においては、産業界でニーズの高い複数のユースケースを対象に、業界団体や事業者と連携して、業界の実ニーズに即したデータ連携システムを構築し、拡張性やユースケースでの実用性を評価します。
データ主権を担保したデータ交換を実現する仕組みの構築
データスペースに参画する各主体がデータ主権を保持した状態でデータ交換を可能にする仕組みを構築し、データ流通における実用性を評価します。具体的には、2023年度~2024年度のNEDO公募事業注7で実施したサプライチェーンデータ連携基盤を構成するソフトウエア技術の開発・実証の成果を生かし、基盤となるデータ流通における相互接続機能、認証認可に関する機能等を開発します。
社会からの意見を反映した継続的な機能改善
本事業を通じて開発する技術仕様・ソフトウエアはオープンソースソフトウエア(OSS)として原則公開し、広く意見を受け付けることで、データ流通ビジネスに関心のある企業・団体を巻き込みます。また、その意見を反映し、継続的な機能改善を行うなど普及・促進のための取り組みを実施し、データの掛け合わせにより生まれる新たなビジネス市場の創出に貢献します。

図:今回の事業イメージ
一般社団法人自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センターとNTTデータグループは、これまでウラノス・エコシステムの先行ユースケースである蓄電池サプライチェーンでのカーボンフットプリント算出に向けた「バッテリートレーサビリティプラットフォーム」を共同で提供しており、これまでの知見を活用し、円滑・安全にデータ流通できる利便性の高いデータ連携基盤機能を提供します。また、関連する業界団体・事業者との協調活動を通じて、データスペース基盤を利用するために必要な整備に取り組み、国外との相互接続における相互運用性を確保するために、海外データスペースとも連携した取り組みを推進します。
今後について
NTTデータグループは、データスペース基盤の開発・実証を進め、広範な業界やユースケースへの展開を目指します。これにより、「ウラノス・エコシステム」が目指す多様なステークホルダーやシステム等の相互連携による社会課題の解決と新たな価値創造を実現します。
注釈
-
注1
経済産業省 Ouranos Ecosystem(ウラノス・エコシステム)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digital_architecture/ouranos.html -
注2
NTTデータと一般社団法人自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センターは、以下のNEDO公募事業に応募し、採択されました。
「ウラノス・エコシステムの実現のためのデータ連携システム構築・実証事業/ウラノス・エコシステムに資するデータスペース基盤整備・普及促進事業/データスペース基盤の開発・実証・普及促進事業」
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101861.html -
注3
NTTデータは、2024年5月に電動車に搭載されるバッテリーに関して、サプライチェーン上のカーボンフットプリント情報(以下、CFP情報)の内、バッテリー製造時のCFP情報を関係企業間で集計・連携可能な「バッテリートレーサビリティプラットフォーム」を「ウラノス・エコシステム」のガイドラインに準拠した形で構築し、提供開始しています。
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2024/051600/ -
注4
経済産業省、独立行政法人情報処理推進機構デジタルアーキテクチャ・デザインセンター「ウラノス・エコシステム・データスペーシズ・リファレンスアーキテクチャモデル(ODS-RAM)」
https://www.ipa.go.jp/digital/architecture/reports/ouranos-ecosystem-dataspaces-ram-white-paper.html -
注5
一般社団法人自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター
https://abtc.or.jp/ -
注6
デジタルライフライン全国総合整備計画
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digital_architecture/lifeline_portal/index.html -
注7
企業や業界、国境をまたぐデータ連携基盤構築に向け、「ウラノス・エコシステム」に関する公募事業に採択
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2023/101301/
- 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータグループ
技術革新統括本部
Innovation技術部
濱野、金子、菅野
E-mail:trusted-ds@kits.nttdata.co.jp
株式会社NTTデータ
第一公共事業本部
パブリックサービスデザイン事業部
武田、是安、西端、谷野
E-mail:trusted-ds@kits.nttdata.co.jp